公共施設

神奈川県立図書館

2022年

神奈川県

新しい県立図書館本館は前川國男館と連携し、蔵書数と閲覧席数を確保しながら、今までの県立図書館にはなかったプログラムをコンパクトに配置する必要があった。                                                                 建物中央に開架書架スペースを配置し、開架・閉架集密書庫により蔵書数を確保した。中央部分は書庫として機能するため堅牢な構造としている。                                                                                      紅葉坂、青少年センター側の通りに面したL 型のスペースには多様な閲覧スペース、ラウンジ、リフレッシュスペース、オープンテラスを計画し、スレンダーなプレキャストコンクリート柱とスチール枠ガラススクリーンによる透明感のあるファサードとし、建物内の様子が見え来館者が入りやすい構えとなっている。                                                                                                  紅葉坂側に面した閲覧スペースの窓面には、厚みの異なる2枚の有孔木パネルをずらしながら重ねて設置することで、直射日光を遮りながら自然光を採りこむ。穿たれた孔の縦横比は前川國男館のホローブリックと同じ比率とした。夜になると、閲覧スペース・窓面書架の様子が紅葉坂に滲み出る。有孔木パネルが単なる日射遮蔽のみの機能ではなく書架の背板となることで窓面書架の機能の一部を担う。                                                                     これにより、柔らかい自然光が入りながら本に囲まれた落ち着いた閲覧スペースが実現され、新しい県立図書館本館を特徴づける要素となっている。